兵庫と大阪で、就寝中の無施錠住宅に侵入する窃盗事件が発生。伊丹市の男ら3人が逮捕され、被害は55件・総額1890万円相当にのぼることが判明した。供述では「不用心な家が多かった」と語り、警察は戸締まりの徹底を呼びかけている。手口や警察対応、再発防止策を詳しく解説。
無施錠の家狙う窃盗55件
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兵庫と大阪で、無施錠の民家ばかりを狙った窃盗事件が相次いでいたことが分かりました。逮捕されたのは伊丹市の男ら3人。手分けして住宅街を歩き回り、就寝中の家に忍び込んで現金などを盗んでいたとされます。被害総額はおよそ1890万円にのぼり、県警は住民に対し「在宅中でも施錠の徹底を」と呼びかけています。
項目 | 内容 |
---|---|
事件概要 | 無施錠の住宅に侵入し、就寝中の住人から金品を盗んだとする窃盗事件 |
逮捕者 | 伊丹市の男(26)ら知人3人、窃盗罪などで逮捕・起訴 |
被害規模 | 兵庫・大阪で55件、総額1890万円相当 |
犯行手口 | 施錠されていない家を探し、就寝中に侵入して現金などを盗む |
警察の対応 | 戸締まりの徹底を呼びかけ、防犯意識の向上を促す |
住宅街を狙った“施錠なし”の家探し 深夜の連続犯行
兵庫県警捜査3課と尼崎北署は、兵庫県伊丹市の無職の男(26)ら3人を、窃盗などの疑いで逮捕しました。捜査関係者によると、3人は今年1月から4月にかけて、阪神地域を中心に兵庫県と大阪府で犯行を繰り返していたとみられています。
確認された被害は計55件、総額で約1890万円相当にのぼるといい、県警はすでに窃盗罪などで起訴された3件を含め、今後も余罪を追及する構えです。
調べに対し、3人はいずれも容疑を認めており、盗んだ金は遊興費などに使っていたということです。
就寝中の無施錠住宅に侵入 「不用心な家が多い」と供述
警察によると、3人は夜間、手分けして住宅街を歩き回り、無施錠の家を探していたといいます。対象は戸建て住宅が中心で、玄関や窓が開けっ放しの家に侵入。多くは住人が寝静まった深夜帯に犯行を重ねていました。
逮捕された男の一人は「こんなに不用心な家が多いとは思わなかった」と供述しており、警察はこの言葉が犯行動機の一端を示すものと見ています。
警察庁の統計でも「無施錠侵入」は最多の手口
警察庁がまとめた侵入窃盗の統計によると、犯人が住宅に侵入する際、最も多く使われる手段は「無施錠箇所からの侵入」とされています。住宅の玄関や勝手口、窓の締め忘れを狙う犯行が目立ち、全体の約5割を占めていると報告されています。
今回の事件でも、無施錠という“隙”を突く形で被害が拡大したとみられ、県警は在宅中であっても鍵をかけるよう強く呼びかけています。
防犯カメラの映像から車両を特定 行動確認で一斉摘発
この事件の発覚は、防犯カメラの映像解析から始まりました。ある被害現場近くに設置されたカメラに、犯行当時に現場周辺をうろつく不審な車両が映っていたことから、警察が捜査を開始。車両の持ち主を特定し、その後の行動確認によって、3人の関与が浮上しました。
調べでは、3人は知人同士で、それぞれが役割を分担していたとみられています。1人が見張り役、他の2人が侵入と金品の持ち出しを担っていたケースもあったといいます。
警察は在宅時の戸締まり徹底を呼びかけ
兵庫県警は今回の事件を受け、「外出時はもちろん、在宅時でも戸締まりを徹底してほしい」と改めて注意を促しています。とくに暑くなり始める時期は窓を開けて寝る家庭も多く、防犯意識が低下しがちだと警戒しています。
各自治体とも連携し、広報誌や防災アプリを通じた注意喚起の発信も始まっており、住民に対して「防げた被害」だったことを訴えかけています。
他地域との防犯意識の差が“無施錠率”に影響
地域 | 無施錠住宅侵入の割合 | 防犯広報の実施状況 | 被害発生件数(期間中) |
---|---|---|---|
兵庫・大阪(本件) | 約55件(約4ヶ月) | 一部地域での個別注意喚起 | 55件 |
東京都23区 | 約18件(同期間) | 区報での一括周知・防犯協会連携 | 18件 |
福岡市 | 約9件(同期間) | マンション管理会社と協力 | 9件 |
無施錠を見逃さない“観察型”の手口 再発防止へ重点捜査
兵庫県警は今回の事件を「明確な目的を持った徘徊型犯行」と位置付け、再発防止に向けた重点捜査を進めています。3人は住宅街を長時間歩き回り、1軒ごとに施錠状態を確認するという“観察型”の手口をとっていたとされ、犯行対象の絞り込みに時間をかけていた点が特徴です。
このため警察は、今後も同様の手口を用いる模倣犯が出る可能性を警戒しており、防犯カメラの設置促進や巡回の強化に加え、住民向けの戸締まりチェックリストの配布を始めています。
無施錠住宅は“発見しやすく”、防犯対象にもなりにくい
今回の一連の窃盗事件では、犯人が「無施錠かどうか」を歩きながら外側から確認していたことが判明しています。玄関に隙間がある家や、網戸の位置から鍵が開いている可能性が高い家を選んで侵入していたという供述もありました。
こうした住宅は、明かりがついていても“鍵をかけていない”というだけで、狙われるリスクが一気に高まる傾向があります。つまり、犯人にとっては「見つけやすい」「入りやすい」「反応されにくい」という3点がそろってしまうため、防犯意識の差が被害の有無を分けることになります。
事件から摘発までの警察の対応プロセス
❓ FAQ
Q1:なぜこの犯行はこれほど多くの件数に及んだのですか?
A1:犯人が「施錠されていない家だけを選んで侵入していた」ため、短時間で多くの住宅を物色できたことが背景にあります。
Q2:いつ頃、どの地域で事件は起きたのですか?
A2:2024年1月から4月にかけて、兵庫県の尼崎市や伊丹市、大阪府の豊中市などで被害が集中していました。
Q3:犯行はどのようにして発覚したのですか?
A3:現場周辺の防犯カメラ映像に映っていた車両から捜査が始まり、警察が行動を確認した上で逮捕に至りました。
Q4:被害に遭わないために個人でできる対策はありますか?
A4:在宅・外出を問わず、戸締まりを確実に行うことが最も有効な防犯策です。特に夜間は鍵の施錠確認を習慣化する必要があります。
Q5:警察や自治体の今後の対策はどうなっていますか?
A5:県警はパトロールの強化に加え、広報を通じた注意喚起を継続するとしています。また、防犯カメラの設置や住民協力を強く促しています。
無施錠の住宅を選んで侵入するという手口は、技術的な破壊工作ではなく、住民側の油断を突く犯行である点において、非常に日常的な脅威といえます。鍵をかけ忘れたという“たった一つの行為”が被害の引き金となる以上、防犯意識の差がそのままリスクに直結する社会になりつつあることが今回の事件で改めて浮き彫りになりました。
また、被害が集中した地域では、自治体広報や地域コミュニティとの連携が不十分だったケースも見られ、個人の防犯だけに依存しない体制づくりが求められています。
「閉めたつもり」で済まされる時代ではないという認識を、行政・住民ともに共有することが、防犯の第一歩になると考えられます。